配偶者控除の廃止の話は、2018年から所得約1000万円以上の家庭が廃止されることになり、その後進んでいない。なぜ、ここで「全面廃止」を提案するのか、それは会社における差別に大きく関わっているからです。配偶者控除の話をすると専業主婦と共稼ぎ主婦のバトル構図になるが、論点をそらそうとする意図しか感じない。ひょうねえは、控除を受ける側(主に夫)そのものが問題だと考え、全面廃止を主張します。
1.配偶者控除は当然。利用しない人のほうが悪い。(働く女性を見下した考え)
2019年調査で共稼ぎ世帯1245万世帯、方稼ぎ世帯575万世帯と方稼ぎ世帯の2倍を超えた共稼ぎ世帯があるのに、日本の一部には、妻が専業主婦になるのが日本のあたりまえという考えで、働く女性を見下す人が一定数います。私も何人も会社で会ってきています。その人たちは、配偶者控除と国民年金を払わなくとも将来年金受給される特権を持っているのにそれを利用しないことがわからない。利用しないやつは頭が悪いと思っている。
では、なぜ、共稼ぎが方稼ぎの2倍以上いるのでしょうか?すばらしい特権があるのにそれを蹴ってでも働く理由はなぜでしょう。共稼ぎでなければ生活できない現状と将来予測があるからです。それをわかっている人間とわからない人間はどちらがAHOなのか。どちらも相手を相当AHOだと思っているのは確かです。配偶者控除を受けている方で何人の方がありがたいと思っているのでしょうか?働き税金を払っている女性を見下し、税金を払わない人間が偉いなどあっていいのでしょうか。
2.家事をしないからできる長時間労働を家事育児介護をしている人へ強要する
2014年頃の話です。私の同期男性で妻のほうが収入がよく、共稼ぎで家を買い、子供二人目が生まれた方がいました。家事育児の分担をしっかりしていた家庭で、妻が早く家を出て、子供二人に朝ご飯を食べさせ保育園に送っていくのは夫の役目、夕方向かえに行くのは妻で、お風呂は夫の役目なのでお風呂の時間には家に戻る生活をしていました。この男性が仕事で担当が変わり、方稼ぎ上司の下について状況が変わりました。新しい仕事に戸惑い、はじめはお風呂の時間に帰れなくなり、育児はこなさなくてはならないので、次は仕事が回らなくなってきたのです。しかし、方稼ぎ上司は容赦しませんでした。あからさまに不機嫌になり、こんなこともできないのか(怒)と態度に表し始めたのです。この上司、日が変わる時間までメールを出すような人で長時間労働は当たり前で、部下が共稼ぎで家事育児を分担していようがお構いなし知らぬ存ぜぬ。私は同期男性に家庭の状況を訴えて相談したら!といいましたが、その方はすでに辞めることを決めていたようでその上司について3か月後に退職しました。
このことに私は非常に怒りました。卑怯ではありませんか。その上司は家事育児を妻がしているから長時間労働できるだけなのに自分が仕事ができると勘違いしている。そしてうちの会社は方稼ぎで養えるだけの給料を払えるわけでもないのに、方稼ぎの働き方を標準とするのかと。私は配偶者控除特権の全面廃止を強く思いました。こんなあからさまに時間制約のある人を排除するようなことをする人間を守ることはありません。
方稼ぎの男性たちは、長時間労働を共稼ぎ男性たちに押し付け、家事分担を妻が多くするように仕向けています。長時間労働という武器を振りかざし、自分たちが優位に立とうとしています。しかし、日本の労働生産性が低いといわれて久しいのは、この方稼ぎ男性たちの働きが悪い(非効率)だからではないでしょうか。
3.方稼ぎ男性より給料の低い独身女性のほうが税金払っている!?
2013年の話です。前年会社ごとリストラされたあとの手続き不備で住民税の請求が直接来たことがありました。それは私だけではなく、隣の区(東京都23区内)に住む同じ部署の先輩もでした。先輩が、「7万円(年間)ぐらいの請求だったでしょ!」って言われたとき、私は、86000円の請求だったことをよく覚えています。私(独身)の2012年の年収は400万円ほど、その先輩は2階級ほど上の係長クラスなので年収は少なくとも700万円以上、専業主婦の奥様と大学生と高校生の2人の娘さんがいました。300万円年収差がある人より、税金払ってるんだぁとしみじみ思いました。住民税がこの違いなら、所得税も厚生年金も私のほうが高いってことですよね。独身者の税金高くしろとか声高々にいっている人たちがたまにいますが、独身者は十分税金払っているし、方稼ぎの方は恩恵うけていますね。
「女性は家にいろ!」といまだに思っている方々は、「女性の払っている税金全部払うから」を必ず初めに言うようにしましよう。
4.国民年金保険料免除による不公平
最近は言われませんが、「国民年金が危うい」っていわれていませんでしたっけ?それで、年金保険料を払わない若者に支払うように働きかけるとかしていたような。
平成30年(2018年)データで確認すると
国民年金第1号被保険者納付者:759万人 全額免除者:574万人、未納者:138万人
国民年金第3号被保険者:847万人、厚生年金被保険者:4428万人
配偶者控除を受けている人の配偶者は第3号ですね。第1号の納付者よりも多い人数です。第3号の方々は納付しないで年金を受け取れる権利があります。「夫が払っている」という方がいますが、その認識は間違っています。昔は、寿命が短いので、二人で年金をもらう年数が少ないためすぐに夫の年金を受け取ることになるからと考えられていたのを間違って認識したのでしょう。
今は長寿命になり、夫婦で年金を受け取る期間が20年以上(第3号の国民年金は月5万として計1440万円)になることから、支払わないで受け取れる特権は不公平極まりないといえます。年金受給額が今後半減するといわれている中で払わないでもらえるは廃止すべきです。
私は、国民年金第3号の年金保険料を「事業者負担」にすべきと考えています。なぜなら、方稼ぎを強要しているのは、企業で長時間労働などの働き方であるからです。思いとしては、さかのぼって過去の分も徴収してほしいと考えています。だって、方稼ぎできるのは高収入の大企業勤めとか公務員とかですよね!?(皮肉です。実は専業主婦率は収入に比例しないというデータがあります。専業主婦になるかならないかは収入は関係ありません、個人の自由です)。事業者負担になったら、企業は方稼ぎ男性を雇わなくなる可能性もありますが。
5.老後破綻問題~長生きリスク
なぜ共稼ぎが増えているのか、その理由の一つに「将来予測」があるといいました。長生きリスクです。方稼ぎで高収入、1000万円平均年収でも団塊ジュニア世代なら月23万円もらえるかどうか。妻の国民年金を合わせても29万円程度。月29万円で生活するのは年収400万円程の家庭で、1000万円年収の家庭はそこまで生活レベルを下げるか、足りない分の老後資金を準備していなければなりません。また、夫が先に死んだ場合の妻の年金はさらに減る。一人暮らしも厳しい。1000万円年収でも楽ではない老後がみえている。単身高齢女性で、配偶者と死別したうち約30%(2016年)が貧困に陥っているデータもあります。配偶者を養うって、死ぬまで安心して生活できるではないようですね。
共稼ぎでも同じでは?という意見もありますが、確かに共稼ぎ世帯1000万円夫婦(500万円×2人)の場合、月29万円ほど年金受給が想定され、同収入の方稼ぎ世帯とほぼ同じです。夫が先に死んだ場合、専業主婦よりも働いている妻のほうが基礎年金が若干高いので年金額は違いますが。
そもそも、世帯年収1000万円以上のほとんどは共稼ぎでひとりで1000万円収入のある人は5%程度(2018年厚生労働省データ)です。
1円でも多くの年金を受け取り老後に備えるのに、共稼ぎという手段は何もおかしくありません。時代の変化に抗い、方稼ぎを無理に続けることのほうが不自然です。そして、世帯数からいっても共稼ぎが日本の標準です。
全面廃止理由は、ひとことでいうと「方稼ぎを甘やかすな!」です。女性活躍や登用の話がでるとかならず『実力で勝負すべき』という意見がでます。そう、方稼ぎの方々、特権を捨て実力で勝負しましょう。
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